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とももも桃も桃のうち


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by tomomo_tomopan
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合理的な豚②

ゲーム理論の中に「合理的な豚」という話がある。
「支配戦略」をわかりやすく定式化したもので、
簡単に言うと、能力が高いものと低いものが対峙した時、
必ずしも能力が高いものが勝つわけではない、という話である。
弱者が勝ち残るには、強者をうまく使わなければいけない。
それが弱者が生き抜くコツである。
※それなりに解説したのがこちらにあります

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この「合理的な豚」が良く当てはまるケースがいくつかある。
その一つが日本の携帯会社の関係である。

日本の携帯会社は端的に言えば3社の寡占状態にある。
およそ5割近いシェアを持つD社。
そして、3割を超すシェアを獲得する程に成長したK社。
さらに、先日社名が変わり安売り戦略を取るS社である。

こうして見ると、D社の優位はさほどない様に思われるが、
技術的な側面を考えると実はD社は圧倒的である。
なぜなら、前にも話した事があるが、
K社もS社も自前の通信システムを持っていない。
K社はアメリカのある会社の通信システムを使っているし、
S社はD社のシステムを援用している。
通信技術において世界と戦えるのは唯一D社だけなのである。

「D社ってやる事遅いよね」

そう思う人もおおいだろう。
音楽携帯もGPSもワンセグも他社に遅れた感がある。
実はこの指摘は完全に正しい。
D社は全て自社開発で行っている為、
常にその時点において二個先の携帯を作っているのだ。
国際的に新しいシステムを作るには時間もかかる。
だから、目先の事ではなく未来に見据えた開発計画を持っていて、
その場その場で柔軟に変える事はできないのである。

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話を「合理的な豚」に戻そう。
この携帯会社の関係を当てはめると大豚がD社で小豚が残り2社となる。

先日、K社の社長が「お財布携帯」に対して次の事を話していた。


「インフラはD社に任せているんです。我々はそれに乗るだけです」


もしK社がD社と同じ様にインフラ整備に時間がかかるもの、
例えばお財布携帯だとか、第4世代携帯とかに本気で戦ったら、
恐らく圧倒的敗北を味わう事になるだろう。
かつて、ID○通信の時それを味わった。

だから、K社は常に二番手の戦略をとる。
インフラという金のかかる部分はD社にお任せして、
それに乗る形でユーザーが望む部分を改良すればいいのだから。

言い換えれば、K社は業界一位を目指していない。
目指せば、やるべき事が増えてしまって、
現在と同じ経営戦略が立てられなくなるからだ。

まさに、小豚の戦略だ。
大豚に走らせて、利益を根こそぎ奪う。
D社も自分が走らないと利益を上げられないので、
金がかかっても、利益率が上がらなくてもインフラをするしかないのだ。
(だからこそ僕はD社を応援するんですけどね)
(インフラ整備が出来なくなったら日本が駄目になりますから)

ちなみにS社は残された手段として割り引き戦略を行うしかない。
D社がインフラ面に力を入れ、デザイン・機能面をK社が頑張るなら、
そこに立ち向かうにはもはや選択の余地がないのである。

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「世の中競争である」

そういう人はおおいだろう。
しかし、それは経済や社会生活をよくわかっていない。
競争ではなく、結託する事で生まれる利益もあるのだ。

僕は携帯会社の経営戦略を見るたびに
そうした背後にある様々な社会システムを考えてしまう。
by tomomo_tomopan | 2007-03-02 23:40
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